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2022.08.05

不動産登記制度

不動産登記制度は、権利変動の過程と権利関係の現況を公示することによって、不動産に関する権利を保全し、その取引を保護することを目的としています。
公示の原則とは、登記されていない物権変動は存在しないという消極的信頼を保護することを言い、公信の原則とは、登記されたとおりの物権変動が存在するという積極的信頼を保護することを言います。日本では、公示の原則を採用しており、公信の原則は採用していません。例えば、A名義の甲土地をBが買ったが、実はAは無権利者であった。Bは、A名義の登記を信頼したとしても、当然に甲土地を取得することはできません。つまり、A名義の登記がある以上、Aが所有者だろうと信じて取引をしたBの積極的信頼は保護されないということです。
一方で、民法177条では、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定められており、これを対抗力と言います。対抗力の例として、二重譲渡が挙げられます。Aが甲土地をBへ売ったあとに、実はCへも甲土地を売っていた場合、BとCの優劣は売買の前後ではなく登記の前後で決することになります。つまり、Bが甲土地の所有者であるということを、Cへ主張するには登記をしなければならないということです。もし、先にCが登記を備えていれば、Bは対抗できないことになります。この対抗要件としての登記は、不動産の物権変動の当事者に対して登記を間接的に強制する機能、登記しなければ第三者に対抗できないという不利益を受けるおそれがあるため、自己の権利を保全するために速やかに登記をするよう促すことになります。これにより、先に述べた「公示の原則」が意味を持ちます。
う~ん、なかなか理解しずらいですよね。
実は、民法改正により自己の相続分を超える権利についても、相続登記をしなければ第三者に対抗できなくなりました。ご注意を。
カテゴリ:登記業務全般
2022.08.04

特別受益

特別受益は、相続人が被相続人から生前に貰った財産は、遺産分割のときに取得分から差し引くことにより、公平な遺産分割を目的としています。例えば、父親が死亡して子供2人が相続人となるケースで、父親が生前、子(兄)の事業のために1000万円贈与しました。父親が死亡後、相続財産は預貯金2000万円の場合、子供2人、兄と弟でそれぞれ1000万円ずつ分ければ、子(弟)にとって不公平となります。そこで、相続財産の2000万円に生前贈与の1000万円をプラスして、合計3000万円を相続財産とし、3000万円を子2人で分配し、兄は生前贈与の1000万円を差し引きます。つまり、1500万円―1000万円=500万が兄の取り分、1500万円が弟の取り分とすることにより、兄と弟の均衡を図ります。
ただし、被相続人は特別受益の持戻しの免除の意思表示をすることができる。要は、被相続人が特定の相続人に財産を多く与えた場合に、過去の贈与や遺贈を加味しないで残った財産だけで遺産分割するように被相続人からのお願いです。又、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方に居住用の不動産を贈与した場合は、持ち戻しの免除の意思をしたものと推定されるという規定が新しく設けられました。残された配偶者を保護する制度として、配偶者居住権とともに作られました。
カテゴリ:相続
2022.08.01

代襲相続

代襲相続とは、相続開始前に相続人となる人が死亡もしくは相続権を失った場合において、その者の直系卑属が代わって相続することをいいます。例えば、AとBが婚姻しており子Cがいる。Cには妻Dと子Eがいる。Aが死亡したとき、Aの相続人はBとCであるが、CがAよりも先に死亡もしくは相続権を失っていた場合、Cに代わってEが相続します。この場合の、Cを被代襲者と言い、Eを代襲者と言います。
被代襲者の要件として、被相続人の子又は兄弟姉妹であること、被代襲者が被相続人の相続開始前に死亡したこと(同時死亡を含む)又は相続欠格、推定相続人の廃除によって相続権を失ったこと。(※相続放棄は、代襲原因とならない。つまり、事例において、Cが相続放棄をしたときは、EはAを代襲相続しません。)
代襲者の要件として、代襲者が被代襲者の直系卑属であること、代襲者が被相続人の直系卑属であること。(※CがAの養子であり、Eが養子縁組前に生まれたCの子である時は、EはCの直系卑属であるが、Aの直系卑属ではないので、EはAを代襲相続出来ません。Eが養子縁組後に生まれたCの子で有るときは、EはAの直系卑属であるから、Aを代襲相続出来ます。)又、代襲者に代襲原因が発生すれば、その子が代襲者となり再代襲が発生します。但し、相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合は、再代襲は認められません。

ちなみに、<相続欠格>は欠格事由に該当するときは法律上当然に相続権を失います。例えば、被相続人を殺害した者や詐欺、強迫によって被相続人に遺言をさせた者をいいます。
<廃除>は被相続人の家庭裁判所への請求により遺留分を有する推定相続人の相続権を奪う事をいいます。但し、被相続人は、いつでも廃除の取消しを請求できます。例えば、被相続人に対して虐待や侮辱、著しい非行があった者です。
<相続放棄>は、相続の効果を確定的に消滅させる意思表示であり、初めから相続人ではなかったことになります。

カテゴリ:相続
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