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2022.08.30

不動産登記法改正 その4

4.住所等の変更登記の申請の義務化(令和8年4月までに施行)
住所等の変更登記の申請が義務化される理由は、所有者不明土地問題の解決のためです。所有者不明土地が発生する主な原因として、相続登記と住所等変更登記を行っていないことが挙げられています。具体的には所有者不明土地の約34%が住所等変更登記の未了が原因とされています。登記簿上の所有者の氏名や住所が変更されてもその登記がされない原因として、①これまで住所等の変更登記の申請は任意とされており、かつ、その申請をしなくても所有者自身が不利益を被ることが少なかったこと、②転居等の度にその所有不動産について住所等の変更登記をするのは負担であることが指摘されています。そこで、住所等の変更登記の申請を義務化することで、所有者不明土地の発生を予防しようとしています。登記簿上の所有者については、その住所等を変更した日から2年以内に住所等の変更登記の申請をしなければならないこととされました。正当な理由がなく申請義務を怠った場合は、5万円以下の過料の適用対象となります。
2022.08.28

不動産登記法改正 その3

3.所有不動産記録証明制度(令和8年4月までに施行)
相続登記の義務化に伴い、親の不動産がどこにあるのか?どうやって調べたら良いのか?このような問題を解決するために、登記官において、自分や被相続人が登記名義人(登記簿上の所有者)として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度が新たに設けられました。今までは、所有不動産を調査する方法として、名寄せ帳というものを活用していました。名寄帳とは、各市町村が地域内の不動産を管理している名簿のことであり、被相続人が同一市町村内に所有している不動産を調べることができます。しかし、調べることができるのは、名寄帳を管理する市町村内だけであり、他の市町村のものはできません。これに対して、新たにできる所有不動産記録証明制度では、全国の所有不動産の一覧を取得できるため、不動産の調査漏れを防ぐことできると期待されています。所有不動産記録証明書を申請する際には、登記名義人の住所、氏名を記載する必要があり、両方が特定されたものに対して発行される予定ですので、実際は運用が始まってみないとわからないですが、登記名義人が引越し等により住所が変更した場合や結婚等により氏名が変更した場合に、登記簿上変更登記を申請していないと同一と判断されず検索結果にかからない可能性があります。また、相続登記が未了で登記名義人が先代名義のままの場合も同様と考えられます。所有不動産記録証明制度は、相続登記申請及び住所等変更登記申請がキチンとされることで、より活用できる制度になっていくと思います。なお、登記名義人の住所等の変更登記申請についても、令和8年4月までに義務化されます。

2022.08.26

不動産登記法改正 その2

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)
相続登記申請の義務化が行われる一方で、手続きのハードルを下げるための取り組みの1つとして、相続人申告登記が新しく設けられました。不動産を所有している方が亡くなった場合、その相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまるまでは、全ての相続人が法律で決められた持分(法定相続分)の割合で不動産を共有した状態になります。この共有状態を反映した相続登記を申請しようとする場合、法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定しなければならないため、従来までは全ての相続人を把握するための資料(戸籍謄本等)の収集が必要でした。しかし、この制度は、①登記簿上の所有者について相続が開始したことと、②自らがその相続人であることを登記官に申し出ることで、相続登記の申請義務を履行することができます。この申出がされると、申出をした相続人の氏名、住所等が登記されますが、持分の割合までは登記されないので、全ての相続人を把握するための資料は必要なく、自分が相続人であることが分かる戸籍謄本等を提出することで足ります。しかし、相続によって権利を取得したことまでは公示されないので、相続人申告登記は従来の相続登記とは全く異なるものです。つまり、協議がまとまった後に、改めて相続登記をする必要があります。
2022.08.22

不動産登記法の改正

1.相続登記の申請の義務化(令和6年4月1日施行)
なぜ、相続登記の申請が義務化されるのかというと、相続が発生してもそれに伴って相続登記がされない原因として、①これまで相続登記の申請は任意とされており、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかったこと、②相続した土地の価値が乏しく、売却も困難であるような場合には、費用や手間を掛けてまで登記の申請をする意欲がわきにくいことが指摘されています。そのため、相続登記の申請の義務化することで、所有者不明土地の発生を予防しようとしています。

相続登記の申請義務についてのルール
① 基本的なルール
相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
② 遺産分割が成立した時の追加的なルール
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければならないこととされました。①、②ともに正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
2022.08.20

所有者不明土地問題

所有者不明土地とは?相続登記がされないこと等により、以下のいずれかに該当する土地のことを言います。
① 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
② 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地
主なケースとしては、
・登記簿に記載された内容が古く、所有者を特定する事が困難な土地
・土地所有者は特定できても、その所有者の所在(転出先や転居先)が分からない土地
・多数の共有者がいる土地で、共有者の全員を特定することが困難な土地
が挙げられます。現在の日本においては、人口の減少や高齢化の進展、地方からの都市部への人口移動等を背景に、土地を利用したいというニーズが低下するなかで土地の所有意識が希薄化していることが要因と言われています。全国のうち所有者不明土地が占める割合は九州本島の大きさに匹敵するともいわれており、今後、高齢化社会の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化するおそれがあり、その解決は喫緊の課題とされています。
具体的にどんな問題が生じているかと言うと、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となる、探索しても真の所有者にたどり着けない、公共事業や復旧、復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、雑草の繁茂、ゴミ等の不法投棄、害虫の発生など隣接する土地への悪影響が発生したりするなどの問題が生じています。
そこで、所有者不明土地の発生予防と、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、総合的に民事基本法制の総合的な見直しが下記のとおり、令和5年4月から段階的に施行されます。
1.発生予防として、登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し
2.発生予防として、土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設
3.土地の利用の円滑化として、土地利用に関連する民法のルールの見直し


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