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2022.08.17

相続人不存在の場合

相続人がいるかどうかが明らかでない時は、相続財産の帰属主体を暫定的に決めて相続財産を管理し、清算をする必要があります。具体的には、被相続人が死亡し相続人がいるか明らかでない時は、相続財産は相続財産法人となります。そして、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続債権者へ債権を申出するように公告し、家庭裁判所は相続人捜索の公告をします。公告期間満了までに相続人としての権利を主張する者がない場合において、相当を認めるときは、家庭裁判所は相続財産の分与を浴する者を特別縁故者とし、相続財産の清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。特別縁故者へ財産分与がされない場合において、相続財産が共有物であるときは、その持分は他の共有者に帰属します。特別縁故者へ分与されず、共有者へも帰属されなかった相続財産がある場合は、当該財産は国庫に帰属します。相続財産に不動産が含まれている場合には、下記の登記申請が必要となります。
① 相続財産法人が成立した場合には、被相続人名義の不動産を相続財産法人名義とする登記名義人氏名変更登記が必要となります。
② 特別縁故者に対する財産分与の審判が確定した場合には、特別縁故者への所有権移転登記が必要となります。
③ 共有不動産の持分につき、特別縁故者の不存在が確定した場合には、他の共有者への持分移転登記が必要となります。

カテゴリ:相続登記
2022.08.15

相続登記と農地法の許可

農地の所有権を移転又は地上権などの使用収益を目的とする権利を設定する場合には、農地法の許可を受けなければならない。具体的には農地の所在の市町村の農業委員会の許可を受ける必要があり、許可を受けずに権利の移転、設定を行っても効力が生じません。但し、権利変動の原因が意思表示にかからない場合、例えば相続などは農地法の許可は不要です。
農地について売買を登記原因とする所有権移転登記の注意点として、
① 農地について売買契約後、売主の死亡後に農地法の許可があった時は、前提として相続登記を申請しなければならない。つまり、1件目に相続登記をし、2件目で売買による移転登記を行います。
② 農地について売買契約後、農地法の許可が到達し、登記申請までの間に買主が死亡した場合は、買主の相続人は売主と共同して買主(死者)名義とする所有権移転登記を申請することができます。つまり、1件目で売買による所有権移転登記をし、2件目で相続登記を行います。
③ 農地について売買契約後、買主が死亡し、死亡した買主宛の農地法の許可が到達したとしても、買主の相続人は所有権移転登記を申請することは出来ません。許可到達時に買主が死亡していた場合、農地法の許可は効力を生じません。つまり、新たに買主となる者宛の農地法の許可を取り直す必要があります。



カテゴリ:相続登記
2022.08.10

相続登記の登録免許税の減免措置

平成30年度及び令和4年度の税制改正により、相続による土地の所有権移転登記の登録免許税の免税措置が設けられました。
① 相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の免税措置
個人が相続(遺贈を含む)により土地の所有権を取得した場合に、当該個人が相続による土地の所有権移転登記を受ける前に死亡したときは、令和7年3月31日までに当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とする移転登記を申請する際には、登録免許税を課さないこととされました。例えば、A→B→Cと順に相続が発生している場合に、A→Bへの登記は登録免許税を課さず、B→Cへの登記だけ登録免許税がかかることになります。但し、登録免許税の免税措置を受けるには申請書へ法令の条項の記載が必要であり、記載がない場合には免税措置は受けられません。
② 不動産の価額が100万円以下の土地に係る場合の免税措置
土地について相続(遺贈を含む)による所有権移転登記又は表題部所有者の相続人が所有権保存登記を申請する場合において、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、令和7年3月31日までは、登録免許税を課さないこととされました。但し、登録免許税の免税措置を受けるには申請書へ法令の条項の記載が必要であり、記載がない場合には免税措置は受けられません。

相続登記がされないことによる様々な社会問題の解決の一因として、登録免許税の免税とともに、令和6年4月から相続登記が義務化されます。
自分の権利を守るとともに、次の世代の子ども達のために、未来へ繋がる相続登記がされることを切に願います。
カテゴリ:相続登記
2022.08.08

商業登記制度

商業登記制度は、会社等の関する取引上重要な事項を登記簿に記録して、広く一般に公開することで、会社等の信用維持を図るとともに、取引をする者を保護するとともに取引が迅速に行われるようにする機能である。
会社を設立した時に法務局へ設立登記を申請し、登記簿に記載されている事項(商号、本店、目的、役員の氏名、住所など)に変更が生じた場合には、原則、2週間以内に変更登記をしなければならない。登記を怠った会社の代表者は100万円以下の過料に科される可能性があります。
設立の登記以降、役員の変更もないからと何も登記していない会社が少なからずあります。しかし、株式会社の取締役の任期は最長で10年であり、新たに取締役が就任する場合や再任する場合も登記をしなければなりません。つまり、必ず10年の区切りで登記をする必要があるという事です。
もし、登記をしないまま12年以上放置しておくと、法務局から登記を促す通知が届きます。そして、事業を廃止していない旨の届出をしなければ、法務局が強制的に解散の登記をしてしまいます。これを、「みなし解散」と言います。登記上は存在しているが実態はない「休眠会社」が横行すれば、先に述べた商業登記の制度自体が信頼されなくなってしまいますので、法務局も問題解決のために取り組んでいます。
仮にみなし解散がされたとしても、会社側の登記義務がなくなるわけではありませんので、登記懈怠による過料のことも踏まえて、お早めに登記申請することをお勧めします。

カテゴリ:登記業務全般
2022.08.05

不動産登記制度

不動産登記制度は、権利変動の過程と権利関係の現況を公示することによって、不動産に関する権利を保全し、その取引を保護することを目的としています。
公示の原則とは、登記されていない物権変動は存在しないという消極的信頼を保護することを言い、公信の原則とは、登記されたとおりの物権変動が存在するという積極的信頼を保護することを言います。日本では、公示の原則を採用しており、公信の原則は採用していません。例えば、A名義の甲土地をBが買ったが、実はAは無権利者であった。Bは、A名義の登記を信頼したとしても、当然に甲土地を取得することはできません。つまり、A名義の登記がある以上、Aが所有者だろうと信じて取引をしたBの積極的信頼は保護されないということです。
一方で、民法177条では、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定められており、これを対抗力と言います。対抗力の例として、二重譲渡が挙げられます。Aが甲土地をBへ売ったあとに、実はCへも甲土地を売っていた場合、BとCの優劣は売買の前後ではなく登記の前後で決することになります。つまり、Bが甲土地の所有者であるということを、Cへ主張するには登記をしなければならないということです。もし、先にCが登記を備えていれば、Bは対抗できないことになります。この対抗要件としての登記は、不動産の物権変動の当事者に対して登記を間接的に強制する機能、登記しなければ第三者に対抗できないという不利益を受けるおそれがあるため、自己の権利を保全するために速やかに登記をするよう促すことになります。これにより、先に述べた「公示の原則」が意味を持ちます。
う~ん、なかなか理解しずらいですよね。
実は、民法改正により自己の相続分を超える権利についても、相続登記をしなければ第三者に対抗できなくなりました。ご注意を。
カテゴリ:登記業務全般
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