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2022.09.20

民法改正 その4

4.相隣関係の見直し(令和5年4月施行)
現状は、隣地の所有者やその所在を調査しても分からない場合には、隣地の所有者から隣地の利用や枝の切取り等に必要となる同意を得ることができないため、土地の円滑な利活用が困難となっていました。そこで、隣地を円滑・適正に使用することができるようにする観点から、相隣関係に関するルールの様々な見直しが行われました。
①隣地使用権のルールの見直し
境界調査や越境してきている竹木の枝の切取り等のために隣地を一時的に使用することができることが明らかにされるとともに、隣地の所有者やその所在を調査しても分からない場合にも隣地を使用することができる仕組みが設けられました。
②ライフラインの設備の設置・使用権のルールの整備
ライフラインを自己の土地に引き込むために、導管等の設備を他人の土地に設置する権利や、他人の所有する設備を使用する権利があることが明らかにされるとともに、設置・使用のためのルール(事前の通知や費用負担などに関するルール)も整備されました。
③越境した竹木の枝の切取りのルールの見直し
催促しても越境した枝が切除されない場合や、竹木の所有者やその所在を調査しても分からない場合等には、越境された土地の所有者が自らその枝を切り取ることができる仕組みが整備されました。
2022.09.16

民法改正 その3

3.遺産分割に関する新しいルールの導入 (令和5年4月施行)


遺産分割されずに長期間放置されるケースの解消を促進する仕組みが新しく設けられました。
詳細は以前の記事を参照下さい。


2022.09.15

民法改正 その2

2.共有制度の見直し(令和5年4月施行)
共有状態にある不動産について、所在等が不明な共有者がいる場合には、その利用に関する共有者間の意思決定をすることが出来なかったり、処分できずに公共事業や民間取引を阻害したりしているといった問題が指摘されています。また、所有者不明土地問題をきっかけに共有物一般についてのルールが現代に合っていないことが明らかになりました。そこで、共有物の利用や共有関係の解消をしやすくする観点から、共有制度全般について様々な見直しが行われました。
① 共有物を利用しやすくするための見直し
・共有物につき軽微な変更をするために必要な要件が緩和されました。(共有者全員の同意は不要となり、持分の過半数で決定できます。)
・所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決定を得て、残りの共有者の持分の過半数で、管理行為ができ、又、残りの共有者全員の同意で、変更行為ができます。
管理行為の例:共有者の中から使用者を1人に決めること。
変更行為の例:農地を宅地に造成すること。
② 共有関係の解消をしやすくするための新たな仕組みの導入
所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡することができます。裁判所において、持分に応じた時価相当額の金銭の供託が必要となります。
これらの改正により、土地の共有者が不明でストップしていた事業も、これからは進めていくことができると期待されています。

2022.09.13

民法改正

土地・建物に特化した財産管理制度の創設 (令和5年4月施行)
例えば、隣地に所有者不明の土地や建物があり、雑草が生い茂って自分の家まで侵入している、虫や害獣の住処となり繁殖している、放火の危険があるなど、隣地所有者としては、とても迷惑、心配をかけられている状態でも、今までは有効な手立てがありませんでした。
そこで、今回の民法改正により「土地、建物に特化した財産管理制度」が創設されました。
従来より所在がわからない人の財産を管理する制度として、「不在者財産管理人制度」があります。不在者財産管理人は、相続人の1人が行方不明である場合などに、不在者の代わりに遺産分割協議に参加したり、相続財産やその他の財産を管理する人のことを言います。
不在者財産管理人は、人単位のものであり、土地や建物などの財産単位のものではなく、又、そもそも所有者がわからない土地や建物については不在者財産管理人を選任することは困難でした。
今回新たに創設された、土地・建物に特化した財産管理制度では、土地、建物単位での管理人の選任が出来るようになります。管理人には、事案に応じて、弁護士・司法書士等のふさわしい者が選任されます。
財産管理制度は、所有者不明土地・建物と管理不全状態の土地・建物に分けられます。
① 「所有者不明土地・建物の管理制度」
調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことが出来るようになります。管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者不明土地の売却等もすることができ、公共事業や民間取引の活性化にも繋がると期待されています。
② 「管理不全状態にある土地・建物の管理制度」
所有者による管理が不適当であることによって、他人の権利・法的利益が侵害され又はそのおそれがある土地、建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地、建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができるようになります。
ひび割れ、破損が生じている擁壁の補修工事やゴミの撤去、害虫の駆除も管理人ができるようになります。

2022.09.08

相続土地国庫帰属制度の創設

相続土地国庫帰属制度 (令和5年4月施行)
・制度趣旨
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」や「周りの土地に迷惑がかかるので管理が必要だけれど負担が大きい」などの理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。このような管理することが難しい土地が放置されている現状は、所有者不明土地の予備軍となるおそれがあると言われております。そこで、所有者不明土地の発生予防の観点から、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。(申請窓口は法務局となります。)
・申請対象者
基本的に相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、申請可能です。制度の開始前に土地を相続した方でも申請することができます。(数十年前に相続した土地についても対象となります。)ただし、売買等によって任意に土地を取得した方や法人は対象となりません。又、土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。
・対象物件
通常の管理又は処分をするにあたって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となります。国庫帰属が認められない土地の主な例としては、①建物、工作物、車両がある土地 ②土壌汚染、埋設物がある土地 ③危険な崖がある土地 ④境界が明らかでない土地 ⑤担保権などの権利が設定されている土地 ⑥通路など他人による使用が予定されている土地などです。又、対象は土地のみであり、建物は対象となりません。法務局職員等による書面審査や実地調査が行われます。(要件等の詳細は、今後、政省令によって定められる予定です。)
・費用について
申請時の審査手数料を納付する必要がある他、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金、10年分の土地の管理費用相当額を納付する必要があります。具体的な金額や算定方法については、今後、政省令で定められる予定です。
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