新着情報

News

2022.09.06

不動産登記法改正 その6

5.DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例(令和6年4月施行)
旧不動産登記法下では、第三者に住所を知られると生命・身体に危害が及ぶおそれのあるDV被害者等については、実務の運用により、前住所を住所地として登記することを認めたり、住所の閲覧を特別に制限したりする取扱いがされてきました。今回の改正により、DV被害者等についても相続登記や住所等変更登記の申請義務化の対象になるため、DV被害者等の保護のための措置を法制化することとなりました。
今回の改正では、DV防止法、ストーカー規制法、児童虐待防止法、等の被害者については、対象者が載っている登記事項証明書等を発行する際に、現住所に代わる事項を記載することができるようになりました。(本人からの申出が必要です。)現住所に代わる事項については、委任を受けた弁護士等の事務所や被害者支援団体等の住所、又は法務局の住所が想定されています。対象者の範囲などについては、今後、省令等で定められる予定です。
2022.09.02

不動産登記法改正 その5

5.職権による住所等の変更登記(8年4月までに施行)
住所等の変更登記手続きの簡素化、合理化を図る観点から、法務局の登記官が他の公的機関から取得した情報に基づき、職権で住所等の変更登記をする仕組みが導入されます。
自然人(個人)の場合には、住基ネットからの情報取得に必要な検索用情報(生年月日など)を提供していれば、法務局が定期的に住基ネットに紹介をかけて住所等の変更の有無を確認します。住所等の変更があったときは、法務局から所有権の登記名義人に対し、住所等の変更登記をすることの確認を行い、その了承を得たときに、登記官が職権で変更登記を行います。
法人の場合には、商業・法人登記のシステムと連携し、住所等に変更があれば不動産登記システムに通知され、職権で変更登記がされるようになります。個人、法人ともに職権で変更登記がされれば、登記申請義務は履行済みとなります。
2022.08.30

不動産登記法改正 その4

4.住所等の変更登記の申請の義務化(令和8年4月までに施行)
住所等の変更登記の申請が義務化される理由は、所有者不明土地問題の解決のためです。所有者不明土地が発生する主な原因として、相続登記と住所等変更登記を行っていないことが挙げられています。具体的には所有者不明土地の約34%が住所等変更登記の未了が原因とされています。登記簿上の所有者の氏名や住所が変更されてもその登記がされない原因として、①これまで住所等の変更登記の申請は任意とされており、かつ、その申請をしなくても所有者自身が不利益を被ることが少なかったこと、②転居等の度にその所有不動産について住所等の変更登記をするのは負担であることが指摘されています。そこで、住所等の変更登記の申請を義務化することで、所有者不明土地の発生を予防しようとしています。登記簿上の所有者については、その住所等を変更した日から2年以内に住所等の変更登記の申請をしなければならないこととされました。正当な理由がなく申請義務を怠った場合は、5万円以下の過料の適用対象となります。
2022.08.28

不動産登記法改正 その3

3.所有不動産記録証明制度(令和8年4月までに施行)
相続登記の義務化に伴い、親の不動産がどこにあるのか?どうやって調べたら良いのか?このような問題を解決するために、登記官において、自分や被相続人が登記名義人(登記簿上の所有者)として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度が新たに設けられました。今までは、所有不動産を調査する方法として、名寄せ帳というものを活用していました。名寄帳とは、各市町村が地域内の不動産を管理している名簿のことであり、被相続人が同一市町村内に所有している不動産を調べることができます。しかし、調べることができるのは、名寄帳を管理する市町村内だけであり、他の市町村のものはできません。これに対して、新たにできる所有不動産記録証明制度では、全国の所有不動産の一覧を取得できるため、不動産の調査漏れを防ぐことできると期待されています。所有不動産記録証明書を申請する際には、登記名義人の住所、氏名を記載する必要があり、両方が特定されたものに対して発行される予定ですので、実際は運用が始まってみないとわからないですが、登記名義人が引越し等により住所が変更した場合や結婚等により氏名が変更した場合に、登記簿上変更登記を申請していないと同一と判断されず検索結果にかからない可能性があります。また、相続登記が未了で登記名義人が先代名義のままの場合も同様と考えられます。所有不動産記録証明制度は、相続登記申請及び住所等変更登記申請がキチンとされることで、より活用できる制度になっていくと思います。なお、登記名義人の住所等の変更登記申請についても、令和8年4月までに義務化されます。

2022.08.26

不動産登記法改正 その2

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)
相続登記申請の義務化が行われる一方で、手続きのハードルを下げるための取り組みの1つとして、相続人申告登記が新しく設けられました。不動産を所有している方が亡くなった場合、その相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまるまでは、全ての相続人が法律で決められた持分(法定相続分)の割合で不動産を共有した状態になります。この共有状態を反映した相続登記を申請しようとする場合、法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定しなければならないため、従来までは全ての相続人を把握するための資料(戸籍謄本等)の収集が必要でした。しかし、この制度は、①登記簿上の所有者について相続が開始したことと、②自らがその相続人であることを登記官に申し出ることで、相続登記の申請義務を履行することができます。この申出がされると、申出をした相続人の氏名、住所等が登記されますが、持分の割合までは登記されないので、全ての相続人を把握するための資料は必要なく、自分が相続人であることが分かる戸籍謄本等を提出することで足ります。しかし、相続によって権利を取得したことまでは公示されないので、相続人申告登記は従来の相続登記とは全く異なるものです。つまり、協議がまとまった後に、改めて相続登記をする必要があります。
« 1 2 3 »

- CafeLog -