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2022.11.30

遺言について その4

4.秘密証書遺言
遺言者が遺言内容を秘密にして遺言書を作成し、公証人と証人2人に遺言書の「存在」を証明してもらう形式です。特徴としては、遺言書の内容を秘密にしておくことができ、かつ遺言書が発見されない事を防ぐことができます。
・メリット
①遺言書の全文を自書する必要がなく、内容はパソコン、代筆でも良く遺言者自身の署名+押印で足ります。
②公証人及び証人も遺言書の内容を確認しないため、誰にも遺言書の内容を知られたくない場合に非常に有効な方式です。
③遺言書を封し、公証人に渡すため、遺言書の偽造や変造を防ぐことができます。
・デメリット
①遺言書の内容を誰も確認しないため、遺言書の内容に不備があった場合に無効となるおそれがあります。
②公正証書遺言と同様に、公証人及び証人が関与するため、手間と費用がかかります。
③秘密証書遺言を作成した記録が公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は遺言者自身でしなければならないため、紛失のリスクが残ります。
④遺言者が亡くなった後に、家庭裁判所にて遺言書の検認手続きが必要となります。

遺言書の作成に手間と費用がかかる上に、遺言書の記載内容に不備があった場合には無効となるリスクがあるため、実際に利用される件数は少ないのが現状です。
カテゴリ:遺言
2022.11.27

遺言について その3

3.公正証書遺言
遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して、2人の証人の立会のもと公正証書にて作成する方式です。遺言者自身が遺言書を書く必要はありません。裁判官や検察官を経験した法律のプロである公証人が遺言書の内容についても確認し、2人の証人が立会うことにより遺言書の内容の信用性が高まり、遺言書が無効になる可能性が低いです。又、印鑑証明書や顔写真付きの証明書による本人確認も行われます。そのため、遺言者の死亡後の家庭裁判所による検認手続きが不要となります。公正証書遺言の原本は公証役場で保管されますので、遺言書の偽造や変造の心配もありませんし、万一紛失した場合でも公証役場で再発行が可能です。
一方で、手間と費用がかかります。戸籍謄本や印鑑証明書、登記事項証明書、評価証明書、通帳のコピーなどの書類を集めなければならない点と公証役場に一定の手数料が発生すること及び司法書士などの専門家に依頼した場合はその報酬が発生します。又、2人の証人を確保する必要があり、財産を譲り受ける者は証人になれません。公証役場で証人を紹介して貰うこともできますが、別途費用が発生します。
カテゴリ:遺言
2022.11.24

遺言について その2

2.法務局における自筆証書遺言の保管制度

令和2年7月より施行されました。自筆証書遺言を法務局に預け、画像データにて保管して貰える制度です。遺言書保管制度を利用する事で、自筆証書遺言を利用しやすくなります。自筆証書遺言のデメリットをカバーする点として、
①遺言書を法務局にて保管してもらう事により、偽造や変造を防ぐことができます。
②法務局が遺言者の死亡を確認した場合には、遺言書が法務局に保管されている事を相続人に通知します。遺言書を作って誰にも発見されず、遺言者の最終の意思を反映できないという事態を防ぐことができます。
③家庭裁判所による検認の手続きが不要となります。
④費用が安価です。保管申請の手数料は、1件につき3,900円です。

しかし、いくつかの注意も必要です。
①遺言の外形的、形式的なルールのチェックはして貰えるが、遺言の内容に関してはチェックして貰えません。
②法務局へ本人が必ず出向く必要があり、体調不良等の理由による家族や代理人による手続きはできません。又、顔写真付きの身分証明書が必要となります。
③様式の指定があります。(A4サイズ、一定の余白が必要など)
カテゴリ:遺言
2022.11.21

遺言について

遺言は、自分が亡くなった後の財産をどう分配するかを自分の意思で決めておく事です。法定相続人(配偶者、子、親、兄弟等)以外の人、お世話になった人にも財産を取得させることが出来ます。亡くなった人の最終の意思を尊重するものであり、相続をめぐる紛争を予防するというメリットもあります。
遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。
(1)普通方式には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言があります。
(2)特別方式には、①死亡危急者遺言、②伝染病隔離者遺言、③在船者遺言、④船舶避難者遺言があります。特別方式の遺言は、例外的に認められたものであるため、遺言者が普通方式によってできるようになった場合には、失効します。
1.自筆証書遺言
自筆証書遺言は軽易な方式の遺言であり、自書能力さえ備わっていれば他人の力を借りることなく、いつでも自らの意思で作成するこが出来ます。遺言者が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印することを要し、一つでも欠けると遺言書は無効となります。
<日付>
年月日までの記載を必要とし、「〇年〇月吉日」という記載は無効となります。他方、何回目の誕生日、〇〇オリンピック開会式の日など暦上の特定の日を表示してる場合は有効となります。
<氏名>
通称、ペンネームなど、誰であるか特定できる場合は有効です。
<自書>
カーボン紙などの複写式のものも有効ですが、プリンターで印刷されたもの、コピーなどは無効です。
<押印>
指印でも有効です。
<財産目録>
自書することを要せず、プリンターで印刷されたもの、登記事項証明書や預金通帳のコピーでも有効で、遺言者の署名及び押印が必要となります。

相続人は遺言書を発見した場合は、家庭裁判所に遺言書を提出し、検認を受けなければならなりません。封印のある遺言書の場合は、家庭裁判所にて相続人の立会いのもとでなければ、開封することが出来ず、勝手に開封した場合は過料の対象となります。
カテゴリ:遺言
2022.11.10

相続分の割合

相続手続きをする際には、亡くなった方の時期によって適用される法律が違ってきます。なので、祖父、祖母の名義のままの不動産などは、少し注意が必要です。
適用される法律は、次のようになっています。
・明治31年 7月16日~昭和22年 5月 2日→旧民法
・昭和22年 5月 3日~昭和22年12月31日→応急措置法
・昭和23年 1月 1日~昭和55年12月31日→新民法
・昭和56年 1月 1日~現在         →現行民法

では、具体的には何が違うのかと言うと、旧民法では「家制度」が採用されてました。戸主と戸主以外の家族で構成されており、家督相続により戸主が権利義務をすべて承継していました。その後、「家制度」の廃止に伴い、家督相続なくなり、配偶者が常に相続人となりました。応急措置法以下では、相続分の割合が少し違っています。
・旧民法  →家督相続
・応急措置法→「配偶者3分の1、子3分の2」、「配偶者2分の1、父母2分の1」
       「配偶者3分の2、兄弟姉妹3分の1」
・新民法  →応急措置法と相続分の割合は同じだが、兄弟姉妹の代襲相続が認められるよ
       うになった。
・現行民法→「配偶者2分の1、子2分の1」、「配偶者3分の2、父母3分の1」
       「配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1」
       平成13年7月1日以後に開始した相続について、遺産分割が終了してい
       ない相続については、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等になりました。

なかなか注意が必要ですよね。ボーっとしてたら、間違えます。自戒を込めて。
カテゴリ:相続

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