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2022.08.22

不動産登記法の改正

1.相続登記の申請の義務化(令和6年4月1日施行)
なぜ、相続登記の申請が義務化されるのかというと、相続が発生してもそれに伴って相続登記がされない原因として、①これまで相続登記の申請は任意とされており、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかったこと、②相続した土地の価値が乏しく、売却も困難であるような場合には、費用や手間を掛けてまで登記の申請をする意欲がわきにくいことが指摘されています。そのため、相続登記の申請の義務化することで、所有者不明土地の発生を予防しようとしています。

相続登記の申請義務についてのルール
① 基本的なルール
相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
② 遺産分割が成立した時の追加的なルール
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければならないこととされました。①、②ともに正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
2022.08.20

所有者不明土地問題

所有者不明土地とは?相続登記がされないこと等により、以下のいずれかに該当する土地のことを言います。
① 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
② 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地
主なケースとしては、
・登記簿に記載された内容が古く、所有者を特定する事が困難な土地
・土地所有者は特定できても、その所有者の所在(転出先や転居先)が分からない土地
・多数の共有者がいる土地で、共有者の全員を特定することが困難な土地
が挙げられます。現在の日本においては、人口の減少や高齢化の進展、地方からの都市部への人口移動等を背景に、土地を利用したいというニーズが低下するなかで土地の所有意識が希薄化していることが要因と言われています。全国のうち所有者不明土地が占める割合は九州本島の大きさに匹敵するともいわれており、今後、高齢化社会の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化するおそれがあり、その解決は喫緊の課題とされています。
具体的にどんな問題が生じているかと言うと、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となる、探索しても真の所有者にたどり着けない、公共事業や復旧、復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、雑草の繁茂、ゴミ等の不法投棄、害虫の発生など隣接する土地への悪影響が発生したりするなどの問題が生じています。
そこで、所有者不明土地の発生予防と、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、総合的に民事基本法制の総合的な見直しが下記のとおり、令和5年4月から段階的に施行されます。
1.発生予防として、登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し
2.発生予防として、土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設
3.土地の利用の円滑化として、土地利用に関連する民法のルールの見直し


2022.08.17

相続人不存在の場合

相続人がいるかどうかが明らかでない時は、相続財産の帰属主体を暫定的に決めて相続財産を管理し、清算をする必要があります。具体的には、被相続人が死亡し相続人がいるか明らかでない時は、相続財産は相続財産法人となります。そして、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続債権者へ債権を申出するように公告し、家庭裁判所は相続人捜索の公告をします。公告期間満了までに相続人としての権利を主張する者がない場合において、相当を認めるときは、家庭裁判所は相続財産の分与を浴する者を特別縁故者とし、相続財産の清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。特別縁故者へ財産分与がされない場合において、相続財産が共有物であるときは、その持分は他の共有者に帰属します。特別縁故者へ分与されず、共有者へも帰属されなかった相続財産がある場合は、当該財産は国庫に帰属します。相続財産に不動産が含まれている場合には、下記の登記申請が必要となります。
① 相続財産法人が成立した場合には、被相続人名義の不動産を相続財産法人名義とする登記名義人氏名変更登記が必要となります。
② 特別縁故者に対する財産分与の審判が確定した場合には、特別縁故者への所有権移転登記が必要となります。
③ 共有不動産の持分につき、特別縁故者の不存在が確定した場合には、他の共有者への持分移転登記が必要となります。

カテゴリ:相続登記
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