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2022.08.15

相続登記と農地法の許可

農地の所有権を移転又は地上権などの使用収益を目的とする権利を設定する場合には、農地法の許可を受けなければならない。具体的には農地の所在の市町村の農業委員会の許可を受ける必要があり、許可を受けずに権利の移転、設定を行っても効力が生じません。但し、権利変動の原因が意思表示にかからない場合、例えば相続などは農地法の許可は不要です。
農地について売買を登記原因とする所有権移転登記の注意点として、
① 農地について売買契約後、売主の死亡後に農地法の許可があった時は、前提として相続登記を申請しなければならない。つまり、1件目に相続登記をし、2件目で売買による移転登記を行います。
② 農地について売買契約後、農地法の許可が到達し、登記申請までの間に買主が死亡した場合は、買主の相続人は売主と共同して買主(死者)名義とする所有権移転登記を申請することができます。つまり、1件目で売買による所有権移転登記をし、2件目で相続登記を行います。
③ 農地について売買契約後、買主が死亡し、死亡した買主宛の農地法の許可が到達したとしても、買主の相続人は所有権移転登記を申請することは出来ません。許可到達時に買主が死亡していた場合、農地法の許可は効力を生じません。つまり、新たに買主となる者宛の農地法の許可を取り直す必要があります。



カテゴリ:相続登記
2022.08.10

相続登記の登録免許税の減免措置

平成30年度及び令和4年度の税制改正により、相続による土地の所有権移転登記の登録免許税の免税措置が設けられました。
① 相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の免税措置
個人が相続(遺贈を含む)により土地の所有権を取得した場合に、当該個人が相続による土地の所有権移転登記を受ける前に死亡したときは、令和7年3月31日までに当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とする移転登記を申請する際には、登録免許税を課さないこととされました。例えば、A→B→Cと順に相続が発生している場合に、A→Bへの登記は登録免許税を課さず、B→Cへの登記だけ登録免許税がかかることになります。但し、登録免許税の免税措置を受けるには申請書へ法令の条項の記載が必要であり、記載がない場合には免税措置は受けられません。
② 不動産の価額が100万円以下の土地に係る場合の免税措置
土地について相続(遺贈を含む)による所有権移転登記又は表題部所有者の相続人が所有権保存登記を申請する場合において、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、令和7年3月31日までは、登録免許税を課さないこととされました。但し、登録免許税の免税措置を受けるには申請書へ法令の条項の記載が必要であり、記載がない場合には免税措置は受けられません。

相続登記がされないことによる様々な社会問題の解決の一因として、登録免許税の免税とともに、令和6年4月から相続登記が義務化されます。
自分の権利を守るとともに、次の世代の子ども達のために、未来へ繋がる相続登記がされることを切に願います。
カテゴリ:相続登記
2022.08.08

商業登記制度

商業登記制度は、会社等の関する取引上重要な事項を登記簿に記録して、広く一般に公開することで、会社等の信用維持を図るとともに、取引をする者を保護するとともに取引が迅速に行われるようにする機能である。
会社を設立した時に法務局へ設立登記を申請し、登記簿に記載されている事項(商号、本店、目的、役員の氏名、住所など)に変更が生じた場合には、原則、2週間以内に変更登記をしなければならない。登記を怠った会社の代表者は100万円以下の過料に科される可能性があります。
設立の登記以降、役員の変更もないからと何も登記していない会社が少なからずあります。しかし、株式会社の取締役の任期は最長で10年であり、新たに取締役が就任する場合や再任する場合も登記をしなければなりません。つまり、必ず10年の区切りで登記をする必要があるという事です。
もし、登記をしないまま12年以上放置しておくと、法務局から登記を促す通知が届きます。そして、事業を廃止していない旨の届出をしなければ、法務局が強制的に解散の登記をしてしまいます。これを、「みなし解散」と言います。登記上は存在しているが実態はない「休眠会社」が横行すれば、先に述べた商業登記の制度自体が信頼されなくなってしまいますので、法務局も問題解決のために取り組んでいます。
仮にみなし解散がされたとしても、会社側の登記義務がなくなるわけではありませんので、登記懈怠による過料のことも踏まえて、お早めに登記申請することをお勧めします。

カテゴリ:登記業務全般
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