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2022.09.13

民法改正

土地・建物に特化した財産管理制度の創設 (令和5年4月施行)
例えば、隣地に所有者不明の土地や建物があり、雑草が生い茂って自分の家まで侵入している、虫や害獣の住処となり繁殖している、放火の危険があるなど、隣地所有者としては、とても迷惑、心配をかけられている状態でも、今までは有効な手立てがありませんでした。
そこで、今回の民法改正により「土地、建物に特化した財産管理制度」が創設されました。
従来より所在がわからない人の財産を管理する制度として、「不在者財産管理人制度」があります。不在者財産管理人は、相続人の1人が行方不明である場合などに、不在者の代わりに遺産分割協議に参加したり、相続財産やその他の財産を管理する人のことを言います。
不在者財産管理人は、人単位のものであり、土地や建物などの財産単位のものではなく、又、そもそも所有者がわからない土地や建物については不在者財産管理人を選任することは困難でした。
今回新たに創設された、土地・建物に特化した財産管理制度では、土地、建物単位での管理人の選任が出来るようになります。管理人には、事案に応じて、弁護士・司法書士等のふさわしい者が選任されます。
財産管理制度は、所有者不明土地・建物と管理不全状態の土地・建物に分けられます。
① 「所有者不明土地・建物の管理制度」
調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことが出来るようになります。管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者不明土地の売却等もすることができ、公共事業や民間取引の活性化にも繋がると期待されています。
② 「管理不全状態にある土地・建物の管理制度」
所有者による管理が不適当であることによって、他人の権利・法的利益が侵害され又はそのおそれがある土地、建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地、建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができるようになります。
ひび割れ、破損が生じている擁壁の補修工事やゴミの撤去、害虫の駆除も管理人ができるようになります。

2022.09.08

相続土地国庫帰属制度の創設

相続土地国庫帰属制度 (令和5年4月施行)
・制度趣旨
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」や「周りの土地に迷惑がかかるので管理が必要だけれど負担が大きい」などの理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。このような管理することが難しい土地が放置されている現状は、所有者不明土地の予備軍となるおそれがあると言われております。そこで、所有者不明土地の発生予防の観点から、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。(申請窓口は法務局となります。)
・申請対象者
基本的に相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、申請可能です。制度の開始前に土地を相続した方でも申請することができます。(数十年前に相続した土地についても対象となります。)ただし、売買等によって任意に土地を取得した方や法人は対象となりません。又、土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。
・対象物件
通常の管理又は処分をするにあたって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となります。国庫帰属が認められない土地の主な例としては、①建物、工作物、車両がある土地 ②土壌汚染、埋設物がある土地 ③危険な崖がある土地 ④境界が明らかでない土地 ⑤担保権などの権利が設定されている土地 ⑥通路など他人による使用が予定されている土地などです。又、対象は土地のみであり、建物は対象となりません。法務局職員等による書面審査や実地調査が行われます。(要件等の詳細は、今後、政省令によって定められる予定です。)
・費用について
申請時の審査手数料を納付する必要がある他、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金、10年分の土地の管理費用相当額を納付する必要があります。具体的な金額や算定方法については、今後、政省令で定められる予定です。
2022.09.06

不動産登記法改正 その6

5.DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例(令和6年4月施行)
旧不動産登記法下では、第三者に住所を知られると生命・身体に危害が及ぶおそれのあるDV被害者等については、実務の運用により、前住所を住所地として登記することを認めたり、住所の閲覧を特別に制限したりする取扱いがされてきました。今回の改正により、DV被害者等についても相続登記や住所等変更登記の申請義務化の対象になるため、DV被害者等の保護のための措置を法制化することとなりました。
今回の改正では、DV防止法、ストーカー規制法、児童虐待防止法、等の被害者については、対象者が載っている登記事項証明書等を発行する際に、現住所に代わる事項を記載することができるようになりました。(本人からの申出が必要です。)現住所に代わる事項については、委任を受けた弁護士等の事務所や被害者支援団体等の住所、又は法務局の住所が想定されています。対象者の範囲などについては、今後、省令等で定められる予定です。
2022.09.02

不動産登記法改正 その5

5.職権による住所等の変更登記(8年4月までに施行)
住所等の変更登記手続きの簡素化、合理化を図る観点から、法務局の登記官が他の公的機関から取得した情報に基づき、職権で住所等の変更登記をする仕組みが導入されます。
自然人(個人)の場合には、住基ネットからの情報取得に必要な検索用情報(生年月日など)を提供していれば、法務局が定期的に住基ネットに紹介をかけて住所等の変更の有無を確認します。住所等の変更があったときは、法務局から所有権の登記名義人に対し、住所等の変更登記をすることの確認を行い、その了承を得たときに、登記官が職権で変更登記を行います。
法人の場合には、商業・法人登記のシステムと連携し、住所等に変更があれば不動産登記システムに通知され、職権で変更登記がされるようになります。個人、法人ともに職権で変更登記がされれば、登記申請義務は履行済みとなります。
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